2019年7月20日、堺市浜寺公園で開催された第3回「てぬぐいフェス」は、全国からさまざまなてぬぐい&てぬぐいファンが集結し、大きな盛り上がりを見せました!
今回は熱気あふれるイベント当日の様子をレポートしながら、てぬぐいの魅力をお伝え出来たらと思います。どうぞお付き合いくださいね。
▲会場の周りは、長〜〜いてぬぐいの横断幕でぐるりと囲まれていて、インパクト抜群!
「てぬぐいフェス」は、てぬぐい産地を支える若手のつくり手たちを中心に、2017年から始まったフェス。3回目の開催となる今年は、会場を堺市浜寺公園に移し、スケールも内容もさらにパワーアップしました!
「てぬぐい産地の堺だからできるつくり手の顔が見えるフェスを目指し、てぬぐいの価値を高めたい」と実行委員長・宮本基広さんも意気込みます。
▲実行委員長の宮本さん
実行委員のみなさんがステージに並び、テープカット……ならぬ、てぬぐいカットでフェスの幕が開きました!
▲ちょきちょき、てぬぐいをカットしていきます
会場は小さいお子さんからおじいちゃんおばあちゃんまで、すでに多くの人で大にぎわい。まずは会場のみなさんと「てぬぐい体操」が始まりました。
てぬぐいを持って身体を伸ばせば……あーー気持ちいい〜♪
▲てぬぐい体操もラジオ体操みたいに浸透するといいな〜
入口では「あなたの手ぬぐい事情を教えてください」というアンケートに答えると、てぬぐいフェスオリジナルてぬぐいがもらえます。これだけですでに気分がアガります!
▲フェスオリジナルてぬぐいは、相撲の番付表のようなデザイン
来場者のみなさんはどこから来たのでしょうか。自分たちが来た場所にシールを貼った地図を見ると、やはり堺市をはじめ大阪近郊から来た方が多いよう。しかし、なかには北陸や関東、九州など府外からの来場者もいました。
▲全国に浸透しつつあるてぬぐいフェス。来年は47都道府県制覇なるか!?
また、今回のてぬぐいフェスのテーマは「てぬぐいと浴衣が日本一似合うフェス」ということで、会場を浴衣で巡る方も数多く見られました。会場では東洋きもの専門学校の学生さんたちによる「無料ゆかた着付けサービス」も人気で、浴衣姿が会場をさらに華やかにしていました。
▲夏はやっぱり浴衣ですよね〜
こちらのブースには、さまざまなてぬぐいが展示されています。これは企業やてぬぐい作家・てぬぐい好きの方々が、年に一度切磋琢磨して、技術やデザイン性を競い合う「てぬぐいオリンピック」のコーナー。
てぬぐいは「個人作家部門」と「ブランド・企業部門」に分かれて出品。計26点のてぬぐいによる人気投票を行います。
▲受付するともらえる「て」と書かれたシールを投票用紙に貼っていきます
▲出品されているてぬぐいは、会場内で買うこともできます
販売数と投票数の合計を競い、フェスの最後に結果が発表されます。どのてぬぐいが1位になるのでしょうか。楽しみです!
それにしても、会場はどこもかしこもてぬぐい一色。会場を歩くだけでてぬぐい熱が高まっていきます!
▲会場のテントやタープもてぬぐい
てぬぐいマーケットでは全国各地のつくり手たちが集結し、さまざまなてぬぐいがブースに並びました。開催直後から大盛況! こんなにたくさんのてぬぐいが集結するのは、日本でおそらく「てぬぐいフェス」だけではないでしょうか。
▲どのブースもお客さんで溢れています。どこから回ろうかな〜
デザインはもちろん、染め方もさまざまなので、1枚1枚見ているとあっという間に時間が経ってしまいます。
伝統的な和小物のイメージが強いてぬぐいですが、ユニークなデザインのものもたくさん販売されていました。
つくり手と気軽に話せるのも、このイベントの嬉しいところ。このてぬぐいはどうやって作られているんだろう。どんな風に使おうかな。そんなやりとりしながら会場を歩いているとついつい財布の紐もゆるんでしまいます。ここぞとばかり、たくさんてぬぐいを買った方も多かったようです。
てぬぐいフェスでは、てぬぐいの高い技術を体感できるワークショップも開催。各ブースにはいたるところで人だかりができていました。
なかでも注目を集めていたのは、「注染(ちゅうせん)染め」の実演や体験ができるブース。注染とは染料を注ぎながら染める技法。色ごとに特殊な糊で防染するため、一度に複数の色を染めることができます。微妙なタッチで色のニュアンスが変わっていくため、高い技術が必要なのです。
▲職人さんの一つひとつの技に思わず見入ってしまいます
染料に折りたたんだてぬぐいを浸すことで、オリジナルの柄ができる「雪花絞り染め体験」では、染め方によって仕上がりが変化する様子を楽しんでいました。
▲小さなお子さんにも大人気
「手捺染(てなっせん)体験」では、版に染料をのせ、プリントしていきます。自分の手でプリントするので、その時の力の入れ具合や刷るスピードなどによって、仕上がりが微妙に異なってきます。
▲職人さんがやさしくサポート
こちらでは、何やらてぬぐいを細く裂いています。てぬぐいは早く乾くよう両端が縫われていないので、小さなお子さんでも簡単に裂くことができるんです。ビリビリ〜っと細くなっていくのが楽しくて、夢中で裂くお子さんたちの様子に思わずほっこり。
▲てぬぐいを裂く感触はやみつきになりそう
裂いて細くなったてぬぐいを編むと、カラフルなてぬぐいのフリンジがかわいいトートバッグのできあがり!
▲かわいくて丈夫な「持ちてぬバッグ」
▲ポンポンヘアゴムにもなります
「ぬり絵てぬぐい」のコーナーでは、真っ白なてぬぐいにクレヨンで好きな色を塗っていきます。アイロンを当てると色が定着するので、世界に1枚だけのオリジナルてぬぐいをつくることができるんです。
▲大人も子どもも真剣に色を塗っていました
もともと堺市は、江戸時代からてぬぐいの生地である和晒(わざらし)の産地。てぬぐいには欠かせないということで、和晒もフェスのいろんなところで登場していました。
「てぬぐいとあそぼ」コーナーでは、なんと和晒の束を積み上げたジャングルジムが出現! 和晒は普段120mほどの生地が束になっていて、糊抜きや漂白などを経て、てぬぐいや浴衣に使われるような白くてやわらかい生地になっていくんですよ。
▲上ったり飛び降りたり……和晒のジャングルジムは小さなお子さんに大人気!
さらに、お昼過ぎの一番暑い時間帯には、キンキンに冷やした和晒が来場者にふるまわれました。
▲ひえひえの晒、とっても気持ちよかったです!
メインステージでは、午前中からさまざまなプログラムが開催されました。
▲満面の笑みで演技する堺チアリーディングクラブのみなさん。思わず胸が熱くなりました
マロニエファッションデザイン専門学校と東洋きもの専門学校によるファッションショーでは、学生たちがてぬぐいや浴衣の生地を使ったオリジナリティあふれるファッションを披露。
▲どのファッションも個性的でかっこいい!
アーティストたちのライブも大盛況! 実力派シンガー・清水久美子さんのパワフルなステージにはじまり、浜田一平さん、金佑龍(キムウリョン)さん、Lenonさん、そしてBAGDAD CAFE THE trench townさんと豪華ラインナップで会場を盛り上げました。
▲力強い歌声とダンスで観客を魅了した清水久美子さん
▲金佑龍さんの心地よい声と弾き語りに癒された方も多いはず
▲BAGDAD CAFE THE trench townさんが登場すると、会場のボルテージは最高潮に!
気持ちの良い音楽が流れるなか、みなさんリラックスした雰囲気で楽しんでいる様子が印象的でした。
フェスも終盤になり、いよいよ「てぬぐいオリンピック」の結果発表です!今年の出品作品は、日本の夏らしい柄、涼しげな浴衣柄、 「水・風・太陽」など自然を感じる柄がたくさん集まったそう。投票数と販売数で上位3組が決まり、金メダル、銀メダル、銅メダルが授与されました。
<企業部門>
1位「打上花火」JIKAN STYLE
2位「スイカ」株式会社戸田屋商店
3位「琉金出目金」株式会社染の安坊
<個人部門>
1位「ケラマブルー」島のアトリエ*KIRARI*2位「バーベキュー」木下恵
3位「dejave-彩」黒猫舎
エントリーしたすべてのてぬぐいはこちらからご覧いただけます。
▲受賞者のみなさん、おめでとうございました!
この日訪れた来場者数はなんと3000人以上! 色とりどりの柄に心が躍り、つくり手とふれ合ったり、ものづくりも楽しめる、まさにてぬぐい尽くしの1日でした。てぬぐいの魅力と奥深さがたくさんの方に伝わったのではないでしょうか。来年のてぬぐいフェスが今から楽しみです!▲最後はてぬぐいの職人さんたちが集合してパチリ! 来年もどうぞご期待ください!
text:石原 藍